第35回日本分子生物学会年会
福岡国際会議場
2012年12月11日
1W1I-7/1P-0118 (1W1I 有性生殖におけるゲノム・遺伝子相関)
口頭発表およびポスター発表

全ゲノム片親性ダイソミー症例のDNAメチル化解析によるヒトインプリントーム解明
Deciphering the human imprintome by the DNA methylation analysis of genome-wide uniparental disomy cases
 
田山 千春1, アレックス マーティン2, 岡村 浩司5, 緒方 勤3, 副島 英伸4, デビット モンク2, 秦 健一郎1, 中林 一彦1
1成育医療研究センター・周産期病態, 2PEBC IDIBELL, Barcelona, Spain, 3浜松医科大学小児科, 4佐賀大学 医学部 医学科, 5成育医療研究センター・システム発生
 
ヒトゲノムにおけるインプリント遺伝子群の全容解明は、稀少インプリンティング疾患にとどまらず様々な疾患の遺伝要因解明に有用であると考えられる。しかし、ヒト組織入手の困難さもあり、モデル動物(マウス)と比較すると遅れている。我々はヒト全染色体母性片親性ダイソミー症例と全染色体父性片親性ダイソミー症例の間でDNAメチル化状態が異なるゲノム領域を解析することで効率的に新規インプリント遺伝子が同定できることを明らかにした。これまでに同定した6箇所の新規インプリント遺伝子座位はいずれもマウスではインプリント制御を受けておらず、進化過程で霊長類系譜特異的にインプリント制御機構が獲得された可能性が高い。ヒトを含む霊長類のインプリントーム解析は、疾患のゲノム・エピゲノム要因の解明のみならず、ゲノム進化において新たなインプリント遺伝子座位が獲得される機構を理解するという意味においても重要であると考えられる。