第23回日本分子生物学会年会
神戸国際展示場
2000年12月14日
2PA-069
ポスター発表

マウスインプリント遺伝子ImpactとそのヒトホモログIMPACTの比較ゲノムおよびメチル化解析
Comparative genome and methylation analyses of the imprinted mouse gene Impact with its nonimprinted human homolog IMPACT
 
岡村 浩司1, 萩原-竹内 百合子1, 榊 佳之1,2, 伊藤 隆司3
1東大・医科研・ヒトゲノムセ, 2理研・ゲノム科学総研セ, 3金大・がん研
 
マウスImpactは父性発現するインプリント遺伝子であるが、そのヒトホログIMPACTは両アレル性に発現する。 このアレル発現様式の差異の構造基盤を探る目的で、両遺伝子の全塩基配列を決定した。 両者のエキソン-イントロン構造はよく保存されているが、CpGアイランドの位置は異なり、マウスのアイランドにのみインプリント遺伝子に特徴的と言われるタンデムリピート構造が見いだされた。 両遺伝子のメチル化状態を検討したところ、ImpactのCpGアイランドとプロモータ領域では、母性アレルが高メチル化状態に、父性アレルが低メチル化状態にあることがわかった。 一方、IMPACTのCpGアイランドは、通常のアイランドと同様に両アレルともメチル化を受けていない。 以上の結果より、これらの領域のメチル化がインプリンティングの成立維持に関与している可能性が示唆された。 そこで現在、マウスの発生段階におけるこれらのメチル化と単アレル性発現の確立の相関を検討しており、その結果も併せて報告する。