第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会 合同大会
神戸国際展示場
2015年12月03日
3P0623
ポスター発表

クロマチン高次構造に基づいた細胞系列特異的エンハンサーの同定
Identification of the cell line-specific enhancers based on chromatin conformation

 
冨川 順子1, 岡村 浩司2, 林 恵子1, 阿久津 英憲3, 田中 智4, 秦 健一郎1, 中林 一彦1
1成育医療セ・周産期病態, 2成育医療セ・システム医学, 3成育医療セ・生殖医療, 4東大・院農・応用動物
 
 ほ乳類生物のゲノムには100万にもおよぶシスエレメントが存在し、それらはしばしば遠位間でも相互作用することが知られている。なかでもエンハンサーは、ヒトではゲノム中に約6万5千個所、マウスエンハンサーは約4万4千個所存在するという。近年では、ヒストン修飾や転写因子の結合に関するNGSデータを組み合わせることで、こうしたエンハンサーの分布状態を予測することが可能となった。しかし、各エンハンサーにより標的遺伝子領域がどのように制御されるのか、不明な点は未だ多い。2万以上にのぼる遺伝子各座において様々なシスエレメントがばらばらに機能することはあまりにも非合理的であり、標的遺伝子群の発現を時期特異的に一括して制御する高次のクロマチン構造制御システムが細胞内に存在することは間違いない。本研究では、ゲノムが核内で実際にどのような構造をとっているのか、Chromosome Conformation Captureの一種である4C-seq、FAIRE (Formaldehyde-assisted isolation of regulatory elements) -seqといったクロマチン構造解析により抽出したゲノム領域の機能解析を行い、胚体系列および胚体外系列特異的なTead4エンハンサーおよびKlf5エンハンサーをそれぞれ同定したのでそれを報告する。