日本遺伝学会第81回大会
信州大学理学部
2009年09月17日
MS2-5
招待講演

新規プロモータ生成源としてのレトロ転移
Retrotransposition as a source of new promoters
 
岡村 浩司1, 中井 謙太1,2
1東大・医科研・ヒトゲノム, 2JST・BIRD
 
レトロ転移による偽遺伝子のいくつかは転写活性を持つことが最近の研究で示されており、そのような遺伝子がいかにプロモータを獲得したかを調べることは、発現制御領域の進化を探る上で重要な手がかりを与えると思われる。本研究では、転写活性を持つヒトのプロセス型レトロ転移遺伝子に着目し、複製元のイントロンを持つ遺伝子と比較ゲノム解析を行うことで、新規プロモータ生成機構を考察した。同定された遺伝子対の大半において、従来からの概念に反し、プロモータ領域の大部分が翻訳領域とともに転移していることが明らかとなった。この事実は転写開始点がある程度の範囲に渡って散在していることから説明することができる。