第46回日本毒性学会学術年会
アスティとくしま
2019年06月27日
S13-4
口頭発表 (畑田)

エピゲノム編集とその応用の可能性
Epigenome editing and its application possibility

 
畑田 出穂1, 森田 純代1, 野口 浩史2, 堀居 拓郎1, 中林 一彦3, 木村 美香1, 岡村 浩司4, 坂井 淳彦2, 中嶋 秀行2, 秦 健一郎3, 中島 欽一2
1群大・生調研・ゲノム, 2九大・医・基盤幹細胞, 3成育医療セ・周産期病態, 4成育医療セ・システム医学
 
今世紀初頭の次世代シーケンサーの登場により様々な病態におけるエピゲノム情報を入手することにより、エピゲノムと病態との相関をみつけることは可能となった。しかしながら見出した相関を実証するのは難しかった。それはエピゲノムをその阻害剤により非特異的に操作することはできたが、特定の遺伝子のエピゲノムのみを操作することが困難であったからである。また同じことが治療においても問題であった。すなわちエピゲノム酵素の阻害剤はエピゲノム疾患の治療への試みに用いられていたが、それには限界があった。すなわち標的以外の遺伝子に作用することによる副作用である。そこで研究面、治療面の両方から特定の遺伝子のエピゲノムを操作する技術の開発が待たれていた。我々はCRISPR/Cas9ゲノム編集技術を応用して特定の遺伝子のエピゲノムを操作する技術を開発した。すなわち (1) ガイドRNAと複合体を形成し標的遺伝子に特異的に結合するdCas9にエピトープが複数をつなげた融合蛋白と、 (2) (1) のエピトープを認識するミニ抗体とエピゲノム因子の融合蛋白、を組み合わせることで標的に複数のエピゲノム因子をリクルートし、特定遺伝子のエピゲノムを効率的に改変できるようにした。この方法は特定の遺伝子のエピゲノムのみを操作できるので、エピゲノム疾患モデルの作製や疾患治療にも応用できる可能性を持つ。