日本核酸医薬学会第2回年会
東京理科大学葛飾キャンパス
2016年11月15日
S2-2
口頭発表 (畑田)

CRISPR/Casを用いたエピゲノム編集法
Epigenome editing using CRISPR/Cas

 
森田 純代1, 野口 浩史2, 堀居 拓郎1, 中林 一彦3, 木村 美香1, 岡村 浩司4, 坂井 淳彦2, 中嶋 秀行2, 秦 健一郎3, 中島 欽一2, 畑田 出穂1
1群大・生調研・ゲノム, 2九大院・医・基盤幹細胞, 3成育医療セ・周産期病態, 4成育医療セ・システム医学
 
 エピゲノムの中でもDNAメチル化は多くの生物学的プロセスや疾患の発症において重要な働きをしている。しかしながら、その重要性の直接的な証明は技術が存在しないため、いまだおこなわれていない。非特異的にDNAメチル基転移酵素の阻害剤を用いて脱メチル化する方法はあるが、ゲノム全体にわたって脱メチル化してしまう。そのため阻害剤は特定のメチル化の役割の証明には使えず、がんの治療にも使われているが副作用の危険性がある。そこで特定のメチル化を操作する技術の開発が望まれていた。
 我々は特定部位を効果的かつ簡便に脱メチル化する技術を開発したので報告する。この技術ではCRISPR/Cas編集法と脱メチル化に関与するTET1を利用して特定の遺伝子の脱メチル化をおこなう。この方法は将来エピゲノム療法にも用いることができるであろう。