第11回日本エピジェネティクス研究会年会
学術総合センター
2017年05月23日
P2-27
ポスター発表

CRISPR/Cas9ゲノム編集を応用した特定のDNAメチル化領域を脱メチル化する方法の開発
A method for efficient, targeted demethylation of specific DNA loci using CRISPR/Cas9 and a repeating peptide array-based amplification

 
森田 純代1, 野口 浩史2, 堀居 拓郎1, 中林 一彦3, 木村 美香1, 岡村 浩司4, 坂井 淳彦2, 中嶋 秀行2, 秦 健一郎3, 中島 欽一2, 畑田 出穂1
1群大・生調研・ゲノム, 2九大・医・基盤幹細胞, 3成育医療セ・周産期病態, 4成育医療セ・システム医学
 
近年、ZFN、TALENに続くゲノム編集法としてCRISPR/Cas9システムが注目を集めている。これは従来のゲノム編集法と比較して、標的配列のデザインが簡便であり、DNA配列ごとに異なるタンパク質を合成する必要がないため、迅速にゲノム編集ができるという特徴がある。これらのゲノム編集技術を応用すれば、エピジェネティック修飾を改変する「エピゲノム編集」も可能となる。ゲノム編集技術で使われる特定のDNA配列に結合できる「特異的DNA配列結合モジュール」を少し改変し、切断活性はないが特定のDNA配列に結合できるものにする。これにエピゲノムを修飾する酵素である「エフェクターモジュール」を連結する。このようなシステムで、エピゲノムを操作することが可能となり、特定遺伝子の発現を活性化したり抑制したりすることができる。エピジェネティック修飾のひとつであるDNAメチル化は、生命の発生や分化における遺伝子発現制御に重要な役割をもち、癌や生活習慣病といった様々な疾患の基盤となることが明らかになってきた。しかしながら、今までに特定の領域のDNAメチル化、脱メチル化を操作する技術はなかった。私達はCRISPR/Cas9の技術を応用し、SunTagシステムと組み合わせることで、特定のDNAメチル化領域を効率的に脱メチル化する系を開発した。さらにこのシステムをin vivoで適用させることに成功した。