第37回日本分子生物学会年会
パシフィコ横浜
2014年11月27日
3P-0195
ポスター発表

変化点検出は単塩基解像度のDNAメチロームデータに基づくゲノムのドメイン分割に有効である
Changepoint detection is useful for partitioning genomic domains with single-resolution DNA methylome data
 
横山 貴央1, 三浦 史仁2, 岡村 浩司3, 伊藤 隆司2
1東大・新領域・情報生命, 2九大・医学研究院・医化学分野, 3成育医療セ・システム医学・組織工学
 
シークエンス技術の進展により、様々な細胞種での単塩基解像度のメチロームデータが入手可能になった。しかし、既存のメチローム解析手法はこういった高い解像度を持ったデータの利点を必ずしも有効利用できていなかった。そこで、我々はゲノム中の異なるDNAメチル化状態を示す領域を変化点検出の技法を用いることによって同定・検出することを試みた。PELT (Pruned Exact Linear Time) と名付けられたアルゴリズムを用いることによって、全ゲノムバイサルファイトシークエンシングのデータに基づいたヒトゲノム全体のドメイン分割は20分以内に完了することが出来た。検出されたドメインとその境界は見た目で判断すると概ね妥当であり、各ドメインのサイズと平均メチル化率のプロットは解析した細胞種の特徴を明瞭に表現していた。また、検出されたドメインの境界領域を細胞種間で比較することによって、DMRs (Differentially methylated region) を容易に決定することが出来たことは、メチル化率の異なったシトシンが連続して出現するゲノム領域を同定する従来のDMRの検出方式とは異なる解析パスの実現が可能であることを意味していた。以上のことから変化点検出の技法はDNAメチローム解析において有効であることが確認できた。