第39回日本分子生物学会年会
パシフィコ横浜
2016年12月02日
3AS6-7
口頭発表 (畑田)

ゲノム編集技術を利用したエピゲノムの書き換え
Rewriting the epigenome by genome editing technique

 
森田 純代1, 野口 浩史2, 堀居 拓郎1, 中林 一彦3, 木村 美香1, 岡村 浩司4, 坂井 淳彦2, 中嶋 秀行2, 秦 健一郎3, 中島 欽一2, 畑田 出穂1
1群大・生調研・ゲノム, 2九大・医・基盤幹細胞, 3成育医療セ・周産期病態, 4成育医療セ・システム医学
 
エピゲノムの中でDNAメチル化はDNAを直接修飾するものであり、安定に保持される。DNAメチル化は様々な生命現象の制御や疾患発症に関与している。しかしながら個々の遺伝子のメチル化が実際におのおのの現象や疾患に関与するかは、厳密に証明されているわけではない。それは個々の遺伝子のメチル化を特異的に操作する技術がこれまでなかったからである。現在のところ非特異的にメチル化をはずす、5-アザシチジンがこのような用途に代用されているが、他の遺伝子のメチル化が現象に関与する可能性を否定できない。また5-アザシチジンは治療にも用いられるが、ターゲット遺伝子以外に働くので副作用を起こす可能性がある。そこで狙った遺伝子のメチル化のみを書き換える技術の開発が求められていた。演者らはCRISPR/Cas9と脱メチル化に関与する酵素TET1を関連づけることで、標的DNA領域のメチル化を自由に書き換える方法を開発したので報告する。